2010/05/18

渡井さゆりさん&藤井和夫対談・その1

♪第1回チャリティコンサートで行われた渡井さゆりさんと藤井和夫のステージ上での対談を、テキスト化してup致します。昨年度のコンサートの雰囲気が、少しでもお伝えできたら、幸いです。長くなりますが、よろしく、お願いいたします。



■渡井
みなさん、こんにちは。NPO法人社会的養護の当事者参加推進団体「日向ぼっこ」の理事長と当事者相談員を務めております、渡井さゆりと申します。本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。また、「harmonize」「foglight」の皆様におかれましては、このような貴重な演奏会を催していただき、誠にありがとうございます。一曲目のオリンピックファンファーレから、みなさんの演奏の素敵さと、みなさんがひとつになって、このような機会を作っていただいたことに感動して、涙が止まりませんでした。本当にありがとうございます。


私からは今日来ていただいた皆様に、社会的養護のことと「日向ぼっこ」のことをご説明させていただきたいと思います。社会的養護という言葉は聞きなれないと思いますが、ご存じの方いらっしゃったら手を挙げていただいてもよろしいですか?


(挙手)


知ってる方、ありがとうございます。


おそらく10名くらいの方、いやそんなに行かなかったかなぁというような、そのくらいの方々しかご存じない言葉ですが、どういうことかと申しますと。親御さんの事情、経済的な難しさだったり、病気があったり障害があったり、または養育放棄だったり、虐待だったりそのような事情で、お子さんを育てることが出来ない、お父さん・お母さんから、育ててもらえないお子さんたちを社会が変わって養育・保護する仕組みのことです。


大きく分けると2つありまして、1つは、里親さんはみなさん御存じでしょうか。家庭的養護といわれているんですけども、里親家庭での養育保護、こちらと、施設での養育保護があります。施設は代表的な施設ですと、児童養護施設です。社会的養護を必要としているお子さんたちは、日本全国に約45000人(2009年6月現在)いらっしゃいます。その多く、9割のお子さんたちは施設で暮らしています。本当はもっときめ細かいケアと申しますか、お父さん・お母さんと離れたことの傷だったり、自分、子ども自身が悪いわけではないので、そのところを整理する必要があったり、そういったことで、きめ細かいケア、よりこう大人・職員・養育者との1対1のケアが求められているんですけども、担い手が不足していて、なかなか十分に里親さんの数も伸びなく、施設で働く人たちも大変なお仕事なので長く続けることが難しいという現状があります。


私たち「日向ぼっこ」は、その社会的養護、そうです、里親さんのおうちや児童養護施設は15歳~18歳で退所、措置解除することとなります。今の日本の世の中で15歳から18歳で自立するっていうのはなかなか難しさがあるということは、みなさんちょっと考えていただくとお分かりになるかと思います。15歳から18歳で巣立った、施設や里親家庭を巣立った人たちのサポートや居場所の運営をさせていただいているのが私たち日向ぼっこです。


今お話させていただいている私も母子生活支援施設と、児童養護施設というところで生活していました。そして退所してから精神的なつらさもあったんですが、経済的なつらさもあったんですけども、精神的にシンドイことが結構ありました。母親の問題に振り回されてしまったり、私のように18歳、高校卒業で世の中で一人暮らしをしている人っていうのはなかなかいないので、同世代の人の間に疎外感を感じてしまったり、見通しが全く見えない、もう全て自分で切り盛りしていかなくてはいけないので、そのことのシンドさを感じていました。でも一方で、私みたいに施設や里親家庭を育った人たちでみんなで力を合わせて家族のように力を合わせて頑張れるところがあったらいいんじゃないかなと思って、「日向ぼっこ」サロンを作りました。今日のパンフレットに日向ぼっこ通信が、はさまれています。そちらに社会的養護や「日向ぼっこ」のことについては記載しております。また入口付近に「日向ぼっこ」の物販ブースもありますので、ご興味のある方は、お帰りの際にのぞいていただければなぁと思います。


日向ぼっこ」でやっている取り組みは、施設や里親家庭を巣立った人たちの居場所の運営、本当におうち、家庭の代わりに気軽にふらっと来ていただける場所です。必要に応じて、就職に関して、就学に関して、生活に関しての諸々のサポートをさせていただいております。あともうひとつ、「日向ぼっこ」が力を入れていることは、そういった社会的養護を知っていただく取り組みに力を入れております。それで、その一環で昨年(2008年)法政大学のひとつの授業でお話をさせていただいたんですが、その時に、本日指揮をされている藤井さんと出会うことが出来ました。藤井さんのように出会いをきっかけに自分で何かが出来ないかということで、コンサートを開いていただいたことにとても感謝しています。


ここから先は、藤井さんと一緒にお話しをさせていただきたいと思います。


(藤井和夫、登場)

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